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2020-08-12

劇場型結婚披露宴

披露宴全景
撮影:角田明子、装花協力:pomponner、styling:判治ミホ

何やら四角い漢字がつながっていてお堅い字面になっていますが、要するに、「劇場にお芝居を見に行くような感覚で、エンターテイメント的なおもてなしをする結婚披露宴」という提案です。

結婚式にはたくさん人が集まり、全員が知り合いというわけではありません。
その中には気にする人と気にしない人がどちらもいて、特に気を付けなければいけないのは、気にする人の気持ちになって不快な思いをさせてしまわないように、ということかなと思うのです。

たとえば、いくら間隔を空けたからといって、向かい側に知らない人がいる状況では安心して食事ができない人もいるはず。
それならば、みんなで前を向いてしまえばいい!ということでお勧めしたいのがこのテーブル配置。

だがしかしスクール型のテーブル配置は、ゲスト同士の距離を十分に取ることができ安心な反面、どうしても会議や講義といった固いイメージを受けやすい。
そこで、「スクール」から「シアター」に変換したらいいのでは!という提案です。

「シアター」の方向に振ってみたら、いろいろなことが解決しました。
コンセプトづくりってやっぱり大切なんだな~と実感した瞬間です。

シアタースタイルのおもてなし

シアタースタイル

今までの結婚式が当たり前のようにはできなくなった今、従来の円卓や長テーブルをそのまま使って、ただゲスト間の距離を空けるために席を間引くのでは、
「いかにも」感が強すぎるし、見慣れたレイアウトなのに、不自然に見慣れない距離が空いていることに落ち着かない人もいるはず。

それならいっそ、今までになかったようなレイアウトにしたほうが楽しめるのではないかという発想から始まった「劇場型スタイル」でした。

「劇場でお芝居を観るように楽しんで帰ってもらおう」というコンセプトの、エンターテイメントなおもてなしのスタイル。
人前で大声で話したり歌を歌ったりするのが憚られる時期なので、今までのような余興やゲストたちと触れ合うのが少し難しい。

では別のおもてなしのスタイルを…と考えました。

単に「素敵な雰囲気の中で、素敵な音楽を聴きながら、素敵なお料理を楽しんでもらう」というだけで、立派なおもてなしになります。

「ふたりの結婚を報告し、みんなで楽しく過ごす」という結婚式の目的は果たせているように思いました。

「シアタースタイルのおもてなし」を完成させるために必要な条件は3つ。

  1. 雰囲気づくり
  2. 生演奏などのエンタメ
  3. おいしいお料理

安心安全でテンションの上がるハッピーな結婚式を。

雰囲気づくり

装花
星

最近では、一般的な結婚式においても高砂の後ろに大きなリースを飾ったり、ソファ席にして雑貨などでディスプレイしたりというふうに、凝った装飾を入れるのがめずらしくなくなってきていました。
それをもう少しパワーアップするくらいなイメージで大丈夫。

「劇場型結婚披露宴」のテーブル配置は、普通にやってしまうとどうしても「スクール」寄りになってしまいます。
「シアター」寄りにするためには、この「雰囲気作り」がとても大事。

テーマはなんでもいいのです。
チュールやレースを使ってプリンセスみたいにスイートな空間にしてもいいし、
ドリームキャッチャーやキリムラグなんかを敷いてボヘミアンスタイルにしても良い。

いつもよりちょっと大袈裟なくらい装飾をして、会場に入ったゲストが「わっ」と驚いてテンションが上がるような空間にできれば、 それだけでもうほぼ成功です。
テーマパークに来た時みたいなわくわく感をゲストにプレゼントできたらいいなと思います。

ステージとスクリーン

ステージ

会場の中央には高砂ではなく大きなスクリーンとステージを設置。
これは、より「劇場型」を体感してもらうための演出なのですが、ゲストが全員前を向いて座り、隣同士での会話もままならないのであれば、何かお食事をしながら楽しめるエンタメを…という発想です。

大きなスクリーンでは、従来のように二人のプロフィールムービーなどを流したりして使うのはもちろんですが、それ以外では普通は単にオフになっていたと思います。ですが、この「劇場型披露宴」では、会食中ずーっとフル活用します。

ゲストが退屈しないような映像を用意して楽しんでもらうようにしましょう。
個人的にお勧めなのは、昔の無声映画など。途中で演出を挟んだり、食事に夢中になって少し見逃したとしても楽しめます。

ステージは、新郎のスピーチや新婦が手紙を読む演出などに利用し、さりげなくゲストから距離を取り、かつ気分を盛り上げることもでき、雰囲気づくりにも役立ちます。

たとえば、パントマイムや手品など、声を出さずに見せる芸のプロフェッショナルを呼んで披露してもらうのもお勧め。

雰囲気のある空間でエンタメを楽しみながらお食事するという、ちょっと特別な時間をプレゼントできると思います。

楽団ブース

ピアノ

そしてもうひとつ「シアタースタイルのおもてなし」にお勧めなのが「生演奏」です。「雰囲気づくり」ができていれば、個人的には、あとは生の音楽演奏があるだけで十分な気もします。

会場にスクリーンがなかったり、大道芸人を呼んだりするほどではないと思ったとしても、生演奏はぜひ取り入れてほしいです。

お二人の好きなジャンルでお食事が楽しめるレベルのもの。
こういう時期ですので、歌と管楽器は避けるようにして、弦楽四重奏やピアノトリオ、アコーディオンなんていうのも雰囲気があっていいですね!

ソファ高砂

ソファ

スクール型のテーブル配置にしますと、ゲストが全員前を向いて座っているわけで、通常の高砂位置つまり会場の正面真ん中では、新郎新婦が少々視線を集めすぎて恥ずかしいかもと思いました。

そこで、高砂位置は、正面から少しずらしたサイドに移動。正面位置にはステージを配置したのです。

この配置ですと、最近流行りだったソファ高砂も似合います。
新郎新婦のおふたりも、ゲストと一緒にくつろぎながらエンタメを楽しむという趣旨にも合っています。

ゲストテーブル

卓上ライト

ゲストテーブルは会議に使うような普通の長テーブルなどでOKですが、テーブルクロスは立派なものを掛けましょう。

普通は3~4人掛けで使うようなところも、やはりディスタンを取るために二席だけとします。
奥行きの狭い長テーブルを選んで、装花はゲスト席の目の前でなく、二席の間に配置するようにします。これで自然とディスタンスが確保できることになり、空いたスペースを持て余しません。

「シアタースタイル」完成のため、「雰囲気づくり」が大切ですので、ただの装花だけではなく、テーマに合わせたデコレーションを入れてもらうと良いと思います。
最近は、ゲスト装花にもアンティークブックやフォトフレームなどを入れ込んで、花と一緒に雑貨をディスプレイするのが流行りでしたので、これの延長と考えてもらえばOKです。

ショープレート

今回は、よりムーディにするために、スタンドライトを取り入れました。
このように、間接照明を多用すると、より雰囲気づくりが強化されますので、お勧めのアイテムです。
よくディスプレイに使われる、コード状のLEDや豆電球なども効果的です。

ドレスアップマイク

マイク

スピーチや歌など大声で話すような余興も自粛されていると思いますが、それでも新郎の挨拶や花嫁の手紙など、どうしてもやりたい演出もあるでしょう。
そんなときにも「シアタースタイル」のテーマ設定が活きてきます。

ステージを作ってあるので、ゲスト席からの距離も不自然にならず程よく確保でき、マイクには飛沫感染防止のため、アクリル板を設置したいところですが、ただ透明の板だけを設置したのではいかにも感がどうしても出てしまいそうです。

アクリル板をこそこそと設置するから気になるのであって、いっそのこと逆にゴージャスな装飾を施してしまってはどうでしょうか。
名付けて「ドレスアップマイク」。

その名の通り着飾ったマイクです。豪華な装飾のほうが気になって、アクリル板があまり目立たなくなりました。装飾の一部と思ってしまえばなんということもありません。

ステージ上も華やかになり一石二鳥でした。

マスクトレー

マスクトレー

お食事の時にマスクを外して、その辺にぽいっとやるのは抵抗ありますよね。
マスクケースを持ち歩いている人ばかりではないと思うので、ゲスト席にマスクをしまえるようなトレーが用意してあるとホスピタリティ度アップです。

蓋ができるようなケースであればなお良いですが、人数分用意するのが難しければ、ちょっとしたお皿でも、清潔なナフキンでもいいと思います。

その心遣いが嬉しいものです。

ペーパーアイテム

招待状

観劇やコンサートなどの機会も減ってしまっていると思うので、シアター風の招待状でゲストにわくわく感をプレゼントするところからおもてなしはスタート。

詳細を書くのは映画のポスター風のちらしにしてみたり。芳名帳代わりにもなるゲストカードはチケット風のデザインにして、半券をもぎ取るような演出も楽しいかも。

いろいろ制限がある今だけど、かえって今しかできないおもてなしがある。

ディスタンスを取っていても楽しくできる演出(movie)

絶好のフォトチャンスだったケーキカットやファーストバイトですが、今はディスタンスを保つために、近寄って写真を撮ることができません。

みんなに囲まれてワイワイできていたところが、遠くから見守られる形になり、新郎新婦もぽつんと感を感じてちょっと恥ずかしい。

それならば、今までシャッターを押していたような決定的な瞬間に、みんなでクラッカーを鳴らすという演出にシフトしてみたらどうでしょうか。会場に一体感が生まれ、フォトジェニック。

ファーストバイトやケーキカットにはふたりのはじめての共同作業をゲストに披露するというような意味合いのほかに、結婚式でふたりの幸せな姿を写真に撮って帰るというのもゲストの楽しみの一つであり、まさにシャッターチャンスを提供する場でもありました。

自分の席からだと写真を撮るにしても遠いし、いまいち盛り上がらないのであれば、こんな演出ならゲストが手持無沙汰にならず、参加型の形を取ることでみんな楽しめる。今ならではの演出となりそう。